ヒップホップのリリックに頻出する否定を強調する意味での二重否定

ヒップホップのリリックに頻出する否定を強調する意味での二重否定
 

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二重否定 (言語学)

二重否定(にじゅうひてい)とは、否定の意味を持つ語を二度使用する用法である。

(~略~)

肯定の意味で二重否定を用いる修辞技法は緩叙法と呼ばれる。本項では主に、単純否定を意味するのに二重否定を用いる用法、すなわち二つの否定語が対応してひとつの否定表現を作る否定呼応を中心に述べる。

(~略~)

否定語を重ねることは否定を否定(-×-は+という論理)して肯定を意味することになるためであり、逆に否定呼応を用いる言語では、否定語を複数用いることは否定の否定(-×-)ではなく、否定の強調または否定の成立条件(-+-)であるとされるからである。両者をひとつの言語の中で認めると、論理的な混乱を招くことになる。

Wikipediaより)

 

日本の学校教育における英語授業で教わるのは、引用文中に記載されている緩叙法(かんじょほう)の方。否定の否定は肯定(-1×-1=1)になると言う理論

だが、ヒップホップにおいては二重否定を始めとして、驚くほど基本に忠実的な日本の学校の英語に関するレクチャーが役に立たないケースが少なくない。二重否定に関しても、緩叙法(かんじょほう)の方では無く否定を強調する意味(-1+(-1)=-2という論理)で使用されるケースがヒップホップでは多い。例を挙げれば、下記のようになるかと思う。時折見かけるリリックの形だ。

例)

  1. <否定> I have no time. (= I haven’t time.) :「(私には)時間が無い」
  2. <二重否定> I haven’t no time. :「(私に)時間が無い訳ではない=(私には)時間はある」
  3. <ヒップホップで頻出する二重否定> I ain’t got no time. :「((私には)本当に、まったく)時間が無い」

 

この記事では、ヒップホップの曲中において二重否定が使用されているリリックの例をいくつか見て行く。

著者の勉強不足により誤った情報を載せてしまう可能性も否定出来ません。英文の和約に関しても、「おそらくこのようなニュアンスだろう」と言うスタンスで掲載しています。必ずしも「完璧に正しい」と言う保証は出来ませんのでご了承ください。間違いの指摘はコンタクトフォーム(問い合わせ)からお願いします。



例1:「Dr. Dre / “Dark Side / Gone”」

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[Intro: King Mez]
Where you at? Where you from?
Whatcha doing over here, m***********?
Whatcha think? What you bang?
This ain’t no m*********** game

(「Dr. Dre / “Dark Side / Gone”」Geniusより)

 

否定を意味する語は赤字で記載しています。(以下同)

「Dr. Dre / “Dark Side / Gone”」イントロにおけるKing Mezのリリック4行目、“This ain’t no ~”。①ain’t、②no、で二重否定となっている。また、同曲中ヴァース1の出だしでは同じくKing Mezの三重否定のリリックが見られる。

[Verse 1: King Mez]
Now I ain’t never been no g******

~

(「Dr. Dre / “Dark Side / Gone”」Geniusより)

 

①ain’t、②never、③no、と三重で否定している。

 

例2:「Dr. Dre / For the Love of Money」

[Verse 1: Jon Connor]

~

All they be talkin’ but ain’t saying nothing
N***** be talking that ain’t what they want
Ain’t no fake s*** around here

~

(「Dr. Dre / For the Love of Money」Geniusより)

 

1行目、“All they be talkin’ ~”①ain’t、②nothing、で二重否定。3行目、“Ain’t no fake ~”。先程のKing Mezの例と同様に①Ain’t、②no、で二重否定

アルバム『Dr. Dre / Compton』の中でも、この曲のJon Connorのヴァースは勢いがあって個人的にかなり好きだが、中でもリリック的にはここで引用した最初の2行、“All they be talkin’ ~” (「誰もが忙しく口を動かしてはいるが、結局肝心な事は何1つ言ってない(言えてない)」、「どいつもこいつも口先ばかりで結果が伴ってない」と言ったようなニュアンスだろうか。)、“N***** be talking that ~”(「あいつらが話しているのは、あいつらが本当に心から望んでいるものではないものや事について」と言ったようなニュアンスか)が特に好きだ。



例3:「Nelly / Broke」

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[Chorus: Sophie Green]

I don’t want no broke n*****, no no
I don’t want no broke n*****, no no
If you ain’t got no money then you can’t do nothing for me
If you ain’t got no money then you can’t do nothing for me

(「Nelly / Broke」Geniusより)

 

最初の2行、“I don’t want ~”は、①don’t、②no、で二重否定。3、4行目、”If you ain’t ~”に関しては前半が①ain’t、②no、で二重否定。後半は①can’t、②nothing、で二重否定されている。

「もし、あなたが一文無しなんて言うなら、(あなたが)私に出来る事なんて何1つありゃしないわ」と言う、ヒップホップど真ん中、物質主義的価値観満載の1曲。

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