楽曲製作においてダイナミクスと音圧、どちらを優先すべきか?

楽曲製作においてダイナミクスと音圧、どちらを優先すべきか?

楽曲製作において「ダイナミクスを優先させるべきか?」、それとも「音圧を優先させるべきか?」と、言った問題に頭を悩ませる人も少なくは無いかと思う。もちろん、双方を丁度良い具合に両立出来ればそれに越したことは無い。が、プロならまだしも、個人レベルの宅録ではどうしてもその辺りに関しては難しい部分が多く、壁にぶつかりやすい。(もちろん、個人の宅録でも上手く双方を両立させる人もいるかもしれないが。)

結論から言えば、「ダイナミクスと音圧、どちらを優先させるべきかに決まりは無く個人個人が好きな方を優先すれば良い」と言える。ジャンルによってであったり、それそれが「楽曲をどう聴かせたいのか?」と、言った部分で変わってくるかと思う。

ダイナミクスを優先する場合

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ダイナミクス(・レンジ)とは?

ダイナミクス(・レンジ)とは、その楽器の出せる最も小さな音と最も大きな音の比率である。楽曲中におけるダイナミクス(・レンジ)を考える場合、”1曲中で最も小さな音と最も大きな音の比率”と考える事が出来る。

音楽は、-∞dB~0dBの間で音量を連続的に変化させながら展開されていく。当然、1曲中に一番音量が小さい箇所と一番音量が大きい箇所が1箇所ないし複数個所発生する事になる。この最小音量と最大音量の値の差が大きければ大きい程、「ダイナミクス・レンジは広い」と言う事になる。

つまり、例えば”楽曲中の最小音量が-60dB、最大音量が-0.5dBの1960年代のジャズ”、”楽曲中の最小音量が-25dB、最大音量が-0.1dBの2010年代のJ-POP”、”楽曲中の最小音量が-10dB、最大音量が-0.1dBの最新のEDM楽曲”があった場合、一番ダイナミクス・レンジが広いのは1960年代のジャズ、一番ダイナミクス・レンジが狭いのは最新のEDM楽曲と言う事になる。

また、楽曲全体として考える場合、なにも最小音量と最大音量の数値が全てではなく「全体的に見て音量変化が自然かどうか?」と、言った見方も重要になってくるかと思う。

 

自然な仕上がりを目指すならダイナミクス優先

「楽曲の元々の質感や(音量などの)バランスを崩したくない」、「自然な感じに仕上げたい」のならダイナミクスを優先すべきかと思う。

「とにかく音圧を上げたいから」と、コンプレッサーをガッツリかけた後にマキシマイザーを過剰にかけたりなんかすれば、楽曲の元々の質感や音量バランスはかなり変わってしまう。せっかく微調整を重ね、各楽器やヴォーカルなどの音量バランスを納得のいくミックスに仕上げても、度が過ぎるトータルコンプやトータルマキシマイザーによって全て台無しになる可能性が充分考えられる

そうではなく、「ミックスの質感を出来るだけそのままに楽曲を仕上げたい」のならダイナミクスを優先すべきカと思う。

 

ダイナミクスを重視したミックス・マスタリングを行う為の施策とは?

ダイナミクスを重視したミックス・マスタリングを行いたい場合、次に挙げるような施策を施す事で上手くいく可能性が高くなるかと思う。

  • 各素材を録音する段階から充分なヘッドルームを確保しておく
  • 各トラック、マスタートラックへかけるコンプレッサーのレシオ(圧縮率)を低めに設定する
  • Over Easy機能のように)コンプレッサーのニーを緩やかに設定する

 

上記は一例である。もちろん、上記に挙げたもの以外にも様々な施策はある。

 



音圧を優先する場合

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音圧とは?

音圧とは、音量の平均値である。”RMS(Root Mean Square)”と言い換える事も出来る。

例えば、”最小音量が-30dB、最大音量が-0.1dB”と、最小音量と最大音量が全く同じな”2000年代のヒップホップ”と”2000年代のR&B”があるとする。ピークが全く同じ-0.1dBでも、例えば前者のRMS値が-13dB、後者のRMS値が-10dBだとすれば、聴感上は後者の方が音量が大きく、そして迫力があるように聴こえる

 

迫力を出したいなら音圧優先

「楽曲に迫力を出したい」、「インパクトを与えたい」と、言う人は音圧を優先すべきかもしれない。

個人の宅録レベルでもある程度まで音圧を上げる事は可能ではあるが、バランスや質感を出来るだけ崩さずにプロレベルの音圧まで上げようとしても、どうしても上手くいかないケースが少なくない。「ミックスの質感を出来るだけ崩さずに音圧をプロの楽曲並みに上げたい」と、言った場合はWAVESを始めとした、それなりのプラグインソフト(や機材)が必要になってくるかと思う。

 

音圧を重視したミックス・マスタリングを施すには?

音圧を重視したミックス・マスタリングを行いたい場合、最低でも次に挙げるような施策は必須になってくるかと思う。

  • 各素材への適切なイコライジング
  • 多少深めのコンプレッシング
  • マキシマイザーでの楽曲全体の音量レベルの底上げ

 

こちらももちろん、上記に挙げたもの以外にも様々な施策はある。また、最近ではRMSメーターが搭載されたアナライザーであったりのプラグインソフトも多くあり、それらを使用して自身の楽曲のRMS値を常時モニタリングする事も可能である。したがって、製作環境にそのようなプラグインを導入するのも1つの手かと思う。

>> プラグインエフェクト比較-アナライザー




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