サンプラーとMIDIコントローラー。見た目がよく似た製品も少なくないが、両者は全く別物になる。
サンプラーは特にヒップホップでよく使用される機材。一方、MIDIコントローラーはDTM全般で幅広く使用される機材だが、特にAKAI Professional関連製品では、サンプラーに見間違うようなMIDIコントローラーも多い。
この記事では、そんなサンプラーとMIDIコントローラーの違いについて触れて行く。
サンプラーとは?
サンプリング、サンプリング音再生の為の機材
サンプラーとは、簡単に言えばレコードなどから音源をサンプリング(曲の特定の個所を機材に録音)し、それを再生する為の機材の事だ。
サンプラーの例としては、AKAI Professional製のAKAI MPCシリーズや他にもPioneer(パイオニア)製のサンプラー、ROLAND(ローランド)製のサンプラー等、様々なメーカーの製品がある。
AKAI MPCに関しては、1980年代後半に発売された初号機AKAI MPC 60をDJ Premierが使用していたり、他にも各機種をPete RockやKANYE WEST(ye)、J Dilla等がそれぞれ使用していたりと、アメリカのヒップホッププロデューサー、DJ達にも使用者が多く、また日本のヒップホッププロデューサー、DJ達にも使用者が多くいる。90年代の作品では頻繁に使用されている。元々は、レコードからサンプリングする使い方がされていたが、自分で叩いたドラムの音、自分で弾いたギター・ベース・キーオードなどの音をセルフサンプリングしパッドに振り分け演奏したり、音源ソフトに収録されているドラム音などをパッドに読み込ませ自由に演奏するような使い方もされている。
単体動作(スタンドアローン)、単体で音が出る
最近のAKAI MPCシリーズ(AKAI MPC TouchやAKAI MPC Renaissance)には、単体では動作せずパソコンと接続しないと使用できない製品もあるが、基本的にサンプラーはUSBでパソコンに接続せずともサンプラー単体で音を出す事が可能になっている。録音した音源素材は、サンプラー本体または外部メモリに記録されサンプラー本体にロードすればいつでも音を出す事が出来る。
また、フォンジャックにヘッドフォンを接続すれば直接音が聴けるので、モニタースピーカーが無くとも楽曲製作が可能になる。
MIDIコントローラーとは?
DAWソフト(の各パラメーター)をコントロールする機材
MIDIコントローラーは、コントローラーと言う名前からも分るように、DAWソフト(の各パラメーター)をコントロールする物である。
MIDIコントローラーから出るのは信号のみで音自体は出ない。MIDIコントローラーからDAWソフトへ信号を送り、DAWの動きを制御するので、パソコンのキーボードやマウスでDAW操作を行う場合に比べ、スムーズかつ自然な形で演奏する事が出来る。
先程触れたAKAI MPC TouchやAKAI MPC Renaissanceには、サンプラーとしての機能の他にMIDIコントロールの機能が付いている。
単体では音が出ない
MIDIコントローラーは単体では音が出せない。USBでDAWソフトウェアを起動したパソコンに接続し初めて音が出る。音を出しているのはMIDIコントローラー自体では無く、DAWソフト内のインストゥルメントトラックなどに設定されたプラグインなどである。
サンプラーとMIDIコントローラー、両者の違い
以上挙げた事からも分るように、サンプラーとMIDIコントローラーはそれぞれ
- サンプラー=それ自体が音を出せる楽器
- MIDIコントローラー=DAWソフトをコントロールする機材
と、このようになる。