モニタースピーカーは、サンプラーを使用したビートメイクに限らずDTMにおいても(ヘッドフォンと併用で)使用される機材です。
個人レベルでのDTMであれば、ヘッドフォンのみで音源のモニターを行っている人も少なくないかもしれませんが、プロの現場ならモニタースピーカーを使用しないケースの方が少ないかと思います。
おそらくサンプラーを使用したビートメイクを始めたばかりの人の中には、以下の様な事が分らない人も少なくないかと思います。
- 「モニタースピーカーとは何なのか?」
- 「リスニング用スピーカーとの違いは何なのか?」
- 「モニタースピーカーの用途は?」
そこでこの記事では、そんな「モニタースピーカーとリスニング用スピーカーの違い、用途」また、モニタースピーカーのスペックの見方、セッティング位置など「モニタースピーカーに関する基礎知識」について詳しく触れて行きます。
モニタースピーカーとは?用途は?
モニタースピーカーは音楽制作用スピーカー
そもそもモニタースピーカーとは、音楽制作用としてチューニングされたスピーカーの事を指します。モニタースピーカーの用途としては、個人レベルのビートメイクやDTM・宅録での音源のモニターから、プロ・アマチュア問わすスタジオでの音源のモニターとなります。
一方、普段音楽を聴く時に我々が使用している(コンポに付属していたりする)スピーカーがリスニング用スピーカーになります。
モニタースピーカーはフラットな再生音
リスニング用スピーカーは、製品にもよりますが再生音を脚色(例えば低音を強調していたり)してしまっている物があるのに対しモニタースピーカーはフラットな(脚色の少ない)音になるよう作られています。
音楽制作では録り音やエフェクトのかかり具合の確認も頻繁に行われるので、その点でもフラットな音が求められます。
リスニング用スピーカーより幅広い周波数帯域をカバー
音には、例えば「ベースドラムなら○○Hz(ヘルツ)~○○○Hz辺り」、「スネアなら○○Hz~○○○Hz辺り」、「ボーカルなら○○○Hz~○kHz(キロヘルツ)」辺りと言うようにそれぞれ周波数があります。
低い音になればなる程周波数の値は低く、高くなればなる程周波数の値は高くなり、低すぎる音(20・30Hz以下)や高すぎる音(20kHz以上)は鳴ってはいても人間の耳では聴き取ることが出来ない(難しい)と言われています。
製品にもよりますが、リスニング用スピーカーではカバーしていない帯域の音でもモニタースピーカーならカバーしている場合があります。
モニタースピーカーに関する基礎知識
モニタースピーカーのスペックの見方
○Wayとは?
良く目にする2Wayとは、ツィーター(高域の音担当)とウーファー(低域の音担当)の「2つのスピーカー・ユニットから音を出すシステム」の事となります。
モニタースピーカーの形式としては、この2Way方式がもっとも多いようですが、2Way方式以外で低域~高域全ての音を1つで鳴らす物を1Wayもしくはフルレンジスピーカーと呼び、3つのスピーカーユニットで音を出している物の場合は3Wayと呼ばれています。
アクティブ、パッシブとは?
アクティブスピーカーは、アンプを内蔵したスピーカー。パッシブスピーカーは別途アンプが必要なスピーカーの事になります。
コンポーネントとは?
コンポーネントはスピーカーのサイズとなり、インチで表示される事が多く(1インチ=2.5cm)、スピーカーのサイズが大きくなればなるほど低域の再生能力が上がると言われています。
再生される音の範囲
モニタースピーカーの再生周波数帯域についてですが、基本的には「表示されている○Hz~○Hzの周波数帯域の音を再生します」と言う意味になります。例えば、再生周波数帯域が50Hz~20kHzと表示されていれば、50Hz~20kHzまでの音が再生可能と言う事になります。
また、再生周波数帯域の表示で○Hz~●Hz(-■dB)と、-■dBと言う表示が追加でされている場合もあります。この場合、-■dBまで音量が下がるのは何Hz(kHz)の時点なのかを示しています。つまり、○Hz以下の音もしくは●Hz以上の音が全く出ていない訳では無く、わずかな音量(-■dB以下の音量)で出ている事になります。
クロスオーヴァー周波数とは?
クロスオーヴァー周波数は、ウーファーとツィーターが切り替わる周波数を示したものになります。例えば、「クロスオーヴァー周波数 1kHz」と表示されていれば、1kHzでウーファーとツィーターが切り替わる事になります。
モニタースピーカーのセッティング位置
モニタースピーカーの音は「どこでも正しく聴こえる」と言う訳ではありません、正しい音で聴こえるエリアの事を”スイートスポット”と言い、そのエリアは限られています。
「2つのスピーカーと自分を結んだ時に正三角形になる位置」が理想的と言われており、また壁からはある程度離した方が良いでしょう(モニタースピーカーの背面など壁と向かい合う面にシールドケーブルを接続する場合はL字型のものがおすすめです)。壁に近づけ過ぎると低音が壁に反射してしまい低音が大きくなってしい、特にバスレフ・ポートが背面にあるタイプではその傾向が強くなります。
高さについては、「ツィーターの位置が自分の耳辺りに来るようにセッティングすると良い」と言われています。
DTMやサンプラーを使用したビートメイクではモニタースピーカーも使用した方が良い
ヘッドフフォンのみでも楽曲製作・ビートメイクは可能だが
個人で行うDTMでも出来ればモニタースピーカーは導入した方が良いですし、サンプラー等のハードウェアのみで楽曲製作を行うような場合でもモニタースピーカーは出来る事なら導入した方が良いかと思います。
サンプラーを使用したビートメイクを始めるにあたって必要になる機材(物)でも触れたように、サンプラーを使ったビートメイクでは最低限サンプラー、ヘッドフォン、音源さえあればビートメイクをする事は出来ます。
出音のチェックや完成した楽曲・ビート(の2ミックス)のチェックをヘッドフォンで済ませてしまう事もできます。「別に遊びでやってるだけ」とか「それで満足出来る」場合は、それでも良いかと思いますが「本格的に楽曲製作・ビートメイクをしたい」と、思っている場合は、製作環境にモニタースピーカーを導入してヘッドフォンと併用で出音のチェックや完成した楽曲・ビート(の2ミックス)のチェックを行った方が良いでしょう。
ヘッドフォンとモニタースピーカーを併用した方が全体のバランスが取りやすい
完成した楽曲・ビート(の2ミックス)をヘッドフォンのみで聴いた場合とヘッドフォンとモニタースピーカーを併用した場合とでは、後者の方が全体のバランスは取り易く、またヘッドフォンで聴いた場合とモニタースピーカーで聴いた場合とでは、それぞれのパーツの音量感や奥行き感がかなり変わってくる事も多くあります。
ヘッドフォンで聴いた時にはバッチリだったとしても、モニタースピーカーで聴いた場合にはそうでない事も多々あり、出来ればヘッドフォンとモニタースピーカーを併用した方がバランスの取れたミックス(、プリマスタリング)が出来るかと思います。