ビートメイクやDAWソフトウェアを使った楽曲製作を始めてみて、「初めてオーディオインターフェイスと言う物の存在を知った」と言った人も少なくないかと思います。そのような場合、オーディオインターフェイスの使い方でよく分らない部分が多くあるかもしれません。
この記事では、オーディオインターフェイスの基本的な使用方法について触れて行きます。
オーディオインターフェイスと各機器の接続の仕方、接続端子に関して
オーディオインターフェイスと各機材との接続は、上記画像の様になります。それぞれ詳しく見て行きます。
アナログ(T(R)S、XLR) IN=楽器、マイクとの接続用端子
アナログ(T(R)S(?))、XLR(?) 端子は、エレキギター、エレキベース等の楽器やマイクとオーディオインターフェイスを繋ぐシールドケーブルやキャノン(XLR)ケーブルを接続する為の端子です。”MIC/LINE/GUITAR(マイク/ライン/ギター)”等と表記されています。
エレキギター、エレキベース等の楽器に繋いだシールドケーブルやマイクに繋いだXLRケーブルのプラグは、この”MIC/LINE/GUITAR(マイク/ライン/ギター)”と表記された端子に接続する事になります。
コンボジャック
オーディオインターフェイス(に限らず、あらゆるアウトボード)では、T(R)S入力とXLR入力が1つにまとめられた入力端子=”コンボジャック”が搭載されるケースが多くあります。このコンボジャックにはシールドケーブル、キャノン(XLR)ケーブルどちらも接続する事が出来ます。
入力数の多いモデルではこれにプラスしてT(R)Sのみ独立した入力端子がいくつか搭載されている事が多いです。
Hi-Z(ハイ・インピーダンス)端子
オーディオインターフェイスのモデルによっては、アナログ(T(R)S、XLR) 端子に”Hi-Z端子”と書かれたものが搭載されている場合があります。
この ”Hi-Z(ハイ・インピーダンス)端子”は、エレキギターやエレキベースなどインピーダンス(抵抗値)が高い楽器を接続する為の端子となります。
ローランド(Roland)の”Rubix”シリーズやモツ(MOTU)の”M”シリーズでは、このHi-Z(ハイ・インピーダンス)端子が搭載されています。
Firewire、Thunderbolt、USB=パソコンとの接続用端子
(Thunderboltケーブル)
Firewire、Thunderbolt、USB(?)などはオーディオインターフェイスとパソコンとを接続する為の端子です。Firewire、Thunderboltなどは、RME等の比較的価格の高いモデルで採用される事の多い規格です。一般的なオーディオインターフェイスでは、USB端子が採用される事が普通です。
オーディオインターフェイスを買う際は、「パソコンとの接続方法がFirewireなのか?Thunderboltなのか?USBなのか?」もよく確認しておく必要があります。最悪の場合、「オーディオインターフェイスを買ったのは良いが、パソコンと接続する為のケーブルの規格が合わずに使えない」と、言う事も起こり得ます。
(USBケーブル)
そして、USB1つにしても現在では様々なタイプが出てきており、採用されるUSBの規格はブランドやモデルごとに異なってきます。例えば、ローランド(Roland)の”Rubix”シリーズではUSB 2.0が採用されており、モツ(MOTU)の”M”シリーズではUSB Type-Cが採用されています。
アナログ(T(R)S) OUT、RCA OUT=モニタースピーカーとの接続用端子
アナログ(T(R)S) OUTやRCA OUT(?)は、モニタースピーカー(?)と接続する為のケーブル(アナログ(T(R)S) OUTの場合はシールドケーブル、RCA OUTの場合はRCAケーブル)を挿す為の端子です。
アナログ(T(R)S) OUTやRCA OUTにケーブルプラグの一方を接続したら、モニタースピーカーの入力端子(INPUT)にケーブルプラグのもう一方を接続して使用します。
48Vファンタム電源に関して
現在、48Vファンタム電源 が搭載されたオーディオインターフェイスのモデルが多くあります。
マイクには主にコンデンサーマイクとダイナミックマイクの2種類がありますが、この48Vファンタム電源はコンデンサーマイクを接続する際に使用します。48Vファンタム電源をオンにする事でコンデンサーマイクに電源を供給します。
ローランド(Roland)の”Rubix”シリーズやモツ(MOTU)の”M”シリーズでも48Vファンタム電源は搭載されています。
モニター音/ダイレクト音に関して
モニター音とは?
モニター音は、”DAWソフトウェアで(エフェクト等の)処理がされた後の音”の事を言います。最終的に楽曲として出来上がるのは、こちらの音になります。
オーディオインターフェイスを使用した際の音の流れは、まず上記画像①(ここでは)エレキギター、マイクで拾ったヴォーカル等の音声信号はそれぞれシールドケーブル、キャノン(XLR)ケーブルを通しオーディオインターフェイスへ入力され(この間にエフェクターやプリアンプが入る事がありますが、ここでは分りやすくする為、省略します)、A/Dコンバータ(ADC)でデジタル信号へ変換、USBケーブルを通してパソコン(内のDAWソフトウェア)へ入力され(②)、DAWソフトウェア内でエフェクト処理など行われた後、再びUSBケーブルを通しオーディオインターフェイスへ戻ります(③)。
そして、次に先程とは逆のD/Aコンバータ(DAC)でデジタル信号からアナログ信号へ変換された後、ヘッドフォンであればヘッドフォンのケーブルを、モニタースピーカーであればシールドケーブルを通しそれぞれの機器に音声が出力されます(④)。この過程を経た音が”モニター音”になります。
ダイレクト音とは?
一方、ダイレクト音は先ほどの場合と音声信号が通る経路が違います。
まず上記画像①エレキギター、マイクで拾ったヴォーカル等の音声信号はそれぞれシールドケーブル、キャノン(XLR)ケーブルを通しオーディオインターフェイスへ入力されます。ここまでは先程と同じです。モニター音の場合は、この後A/Dコンバータでアナログの音声信号がデジタル信号に変換されUSBへと流れて行きますが、A/Dコンバータでアナログ音声信号からデジタル信号へ変換される前段階の音=”エレキギター、マイクで拾ったヴォーカル等のそのままの音”を(モデルによっては)ヘッドフォン等に出力(②)する事が出来ます。このオーディオインターフェイス内でデジタル信号へ変換される前の音が”ダイレクト音”になります。
モニター音とダイレクト音はオーディオインターフェイスで切り替え可能
ブランドやモデルにもよりますが、このモニター音とダイレクト音はオーディオインターフェイス本体上で切り替えが可能です。例えば、ローランド(Roland)の”Rubix”シリーズでは背面のスイッチを切り替えたり前面パネルのつまみを回す事でモニター音とダイレクト音の比率を変化させていく事が可能です。
ブランドやモデルにもよるので一概には言えませんが、スイッチで切り替えるタイプのものはスイッチを切り替えるごとにモニター音からダイレクト音に、またダイレクト音からモニター音に完全に切り替わったり、あるいは双方がミックスされた音が出るのに対し、つまみを回すタイプの場合は、つまみの位置によってモニター音とダイレクト音の比率が変わっていく仕様になっています。なので、モニター音とダイレクト音の比率を自由に調整する事が可能になります。
つまみが完全にモニター音側にある時はモニター音のみ(モニター音:ダイレクト音=1:0)が聴こえ、つまみが真ん中(12時の位置)にある時は、モニター音とダイレクト音が丁度半分づつ=1:1の割合で聞こえます。そして、つまみをダイレクト音側に回していくにつれモニター音が小さく、ダイレクト音が大きくなっていき、つまみが完全にダイレクト音側になると、ダイレクト音のみ(モニター音:ダイレクト音=0:1)が聴こえます。