“dbx 166XS”は、ゲート機能、リミッター機能を兼ね備えたアウトボードのステレオコンプレッサーです。
ミックス、プリ・マスタリングにおいてはほぼ必要不可欠になってくるコンプレッサーですが、昨今はDAWソフトウェアの進化もあり(コンプレッサーに限らず)ミックス、プリ・マスタリングはDAWソフトウェア内のプラグインエフェクト(VST)処理のみで済ませている人も少なくないかもしれません。
プラグインエフェクト(VST)がすっかり浸透している昨今ですが、この記事ではアウトボードコンプレッサー”dbx 166XS”の以下の事柄に関して触れていきます。
- dbx 166xsの概要
- dbx166xsにおける便利な機能
- dbx166xsと266xsとの違い
“dbx 166xs Compressor/Limiter/Gate”の概要
“dbx 166XS Compressor/Limiter/Gate”(Amazonへリンク)は、名前の通り一台でコンプレッサー、リミッター、ゲートの機能を搭載したアウトボードコンプレッサーです。類似品として“dbx 266XS”(Amazonへリンク)がありますが、”dbx 266XS”に更にリミッター機能が追加された物がこの”dbx 166XS”となります。
各パラメーター
“dbx 166XS”は、以下のの3セクションから構成されています。
- EXPANDER / GATE(エキスパンダー / ゲート)
- COMPRESSOR(コンプレッサー)
- LIMITTER(リミッター)
そして、”dbx 166XS”を実際使用する際に主に設定する事になるであろうパラメーターは,以下の様になります。
EXPANDER / GATE(エキスパンダー / ゲート)パート
- Threshold(スレッショルド)
- Release(リリース)
COMPRESSOR(コンプレッサー)パート
- Threshold(スレッショルド)
- RATIO(レシオ)
- Attack(アタック)
- Release(リリース)
- Output Gain(アウトプットゲイン)
LIMITER(リミッター)パート
- PEAKSTOP
Threshold(スレッショルド)
スレッショルド値に関しては、以下の範囲で調節可能となっています。
- エキスパンダー / ゲート→「OFF~+15dBu」
- コンプレッサー→「-40dBu~+20dBu」
ATTACK, RELEASE(アタック・リリース)
アタックタイム、リリースタイムに関しては、エキスパンダー / ゲートパート、コンプレッサーパート共に共通で「FAST~SLOW」の範囲で調節可能となっています。
RATIO(レシオ)
コンプレッサーのレシオ値は、「1:1~∞:1」の比率で圧縮可能となっています。
PEAKSTOP(ピークストップ)
リミッターパートのピークストップ値は、「0dBu~+20dBu」の範囲内で調節可能となっています。
ゲインリダクションメーター
赤枠で囲ってあるのはGain Reduction(ゲインリダクション)値を表す“Gain Reduction Mater(ゲインリダクションメーター)”となります。
(分りやすくゲインリダクションメーターをフルで点灯させています。)
ゲインリダクション値が上がるにつれ、上図のように矢印の方向の順(右から左)にランプが点灯していきます。
背面
“dbx 166XSの背面になります。
電源部分はAKAI MPC 2500と同じく3ピンタイプになっています(関連記事:AKAI MPC等の電源コードが3ピンタイプのアナログ機材に使用可能な電源タップは?)
“dbx166XS”の便利な機能
また、”dbx 166XS”の基本的な機能以外の特筆すべき便利な機能として以下の3点が挙げられます。
- Stereo Couple(ステレオカップル)機能(①)
- Over Easy(オーヴァーイージー)機能(②)
- Bypass(バイパス)機能
Stereo Couple(ステレオカップル)機能
dbx 166XSのCHANNEL ONE(チャンネル・ワン)
(Bypass, Stereo CoupleをそれぞれONにした場合。写真のように点灯します。)
“dbx 166XS”は、ステレオコンプレッサーでCHANNEL ONE(チャンネル1)とCHANNEL TWO(チャンネル2)が存在します。
ステレオでコンプレッサーをかける場合、それぞれのチャンネルごとに同じ設定になるようにつまみを回しても良いですが、上記画像の①Stereo Couple(ステレオカップル)ボタンを押せばCHANNEL ONEのつまみの位置の設定が自動的にCHANNEL TWOにも適用されます。つまり、初めにCHANNEL ONEでコンプレッサーのかかり具合を設定してしまえば、あとはStereo Coupleボタンを押せば2ch分の設定が出来てしまうと言う事になります。こちらの方法の方が、1回1回2チャンネル(ch)分のパラメーターを設定する手間が省けて作業スピードは上がります。
Over Easy(オーヴァーイージー)機能
(Over EasyをONにした場合)
また、”dbx 166XS”にはOver Easy(オーヴァーイージー)ボタンと言うものが存在します(上記画像、緑色に点灯しているボタン)。
このOver Easy(オーヴァーイージー)ボタンをONにするとRATIO(レシオ)*1のKnee(ニー)*2が通常より緩やかになるので、いかにも「コンプレッサーをかけました」と言う音ではなく、自然にコンプレッサーをかけたい場合には良いかもしれません。
*1…圧縮率。レシオが2:1の時は、あらかじめ設定したスレッショルド値を超えた音が2分の1に圧縮される。4:1なら4分の1、と言うように左側の数字が上がれば圧縮率は高くなる。
*2…圧縮が始まるスレッショルド値付近のカーブ。通常、コンプレッサーのスレッショルド値前後のカーブは直線的だが、Knee(ニー)が緩やかになる事で設定したスレッショルド値より低めの音量から緩やかに自然な形でコンプレッサーがかかるようになる。
Bypass(バイパス)機能
また、”dbx 166XS”にはBypass(バイパス)ボタンも表面のパネル(OUTPUT GAINの横)に付いているので、ボタンのON/OFF1つでコンプレッサーがかかっている状態とかかっていない状態を聴き比べる事が可能です。
“dbx166XS”と”dbx 266XS”の違い
リミッター機能の有無
また、冒頭でも触れたように”dbx 166XS”の類似商品として“dbx266XS”(Amazonへリンク)と言う製品も出ており両者の違いはリミッター機能の有無となります。
“dbx 166XS”はコンプレッサー/リミッター/ゲートが搭載されているのに対し“dbx 266XS”はコンプレッサー/ゲートのみと、リミッター機能がありません。
リミッター機能が無い分、価格的には”dbx266XS”の方が安くなっています。
それぞれのモデルの価格等に関して
“dbx 166XS”は中古品のみ。”dbx 266XS”は新品もあり*3
“dbx 166XS”の方は(筆者が調べた限り)新品での取り扱いが無く*3、(比較的有名な通販サイトから)入手するなら楽天やイシバシ楽器等で中古品で入手する形となります。
価格的には、ショップにもよりますが楽天では状態の良い製品が3万円台前半から後半で、「状態がそこまで良くない製品」だと1万円台前半で購入可能*3です。イシバシ楽器では1万円台前半で出品されていました。Amazon、サウンドハウス(Sound House)では、売り切れで取り扱いがありませんでした*3。
一方、“dbx 266XS”の方はまだ新品での取り扱いがあります*3。なので「新品が欲しい」と言う場合は、”dbx 266XS”の方の購入を考えても良いかもしれません。楽天では2万円台後半でサウンドハウス(Sound House)では1万円台後半で購入可能とかなり購入しやすくなっています*3。
代替製品:コンプレッサー・モジュール”dbx 560A”、モノラルコンプレッサー “dbx 160A”
購入しやすい”dbx 560A”
“dbx 166XS”の代替商品として、コンプレッサー・モジュールの”dbx 560A”があります。この製品も“Over Easy(オーヴァーイージー)”機能が搭載されており、ハードニーとの切り替えが可能となっています。
サウンドハウス(Sound House)では、次に紹介する”dbx 160A”の取り扱いはありませんが、この”dbx 560A”の取り扱いはあり、価格は2万円台後半となっています*3。
楽天では出品ショップ数が少ないですが、4万円台前半で出品されていました。どのショップを選ぶにしろ”dbx 160A”よりは購入しやすくなっています*3。
価格が高い”dbx 160A”
モノラルコンプレッサーで、かつ価格も(楽天で)12万円台からと高価ですが、“dbx 160A”(Amazonへリンク)と言う製品もあります。機能や使い方が異なりますが、 “dbx 160A”にも”Over Easy(オーヴァーイージー)”機能が搭載されており、ハードニーとの切り替えが可能となっています。
楽天(中古) イシバシ楽器(中古)
dbx 266XS詳細
Amazon 楽天 Sound House イシバシ楽器(中古)
dbx 560A詳細
楽天 Sound House
dbx 160A詳細
Amazon 楽天
*3…2024/10時点。