(アウトボード)コンプレッサーで楽曲中の一瞬のピークを叩ききれない際の対処法とは?

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個人で行うDTMでも普通に行われますが、一般的なプロの楽曲製作において楽曲(2MIX)のミックス、プリ・マスタリング、マスタリング作業はほぼ必ずと言って良いほど行われます。そしてミックス、プリ・マスタリング作業においては、音圧を稼ぐためであったり距離感を調整する為にエフェクトの1種であるコンプレッサーが使われます。

もちろん、(スタンドアローン型にしろPC(ソフトウェア)連動型にしろ)サンプラーを使ったビートメイクでも「楽曲をそれなりの(プロの楽曲のような)形にしたい」のであれば、楽曲(2MIX)のミックス、プリ・マスタリング作業は必要になってきます。

 

そして、アウトボードはアナログなのでデジタル的な処理するDAWソフトウェアと比べ、こういった問題が起きやすくなります。

この記事では、主に「アウトボードコンプレッサーで楽曲中の一瞬のピークを叩ききれない際の対処法」について触れて行きます。

 

(アウトボード)コンプレッサーで音源のピークを叩く際の問題点

これは、アウトボードコンプレッサーでアタックタイムを最速にしても起きてしまった問題です。アタック音を残す為にアタックタイムを遅くした場合は、また別の話になります。

 

楽曲中の一瞬のピークが消えない

postPeakReduction-音波形01©HeretickMentality.com.png

以前、アウトボードコンプレッサーdbx 166XSを使用した際、アウトボードだからなのかは分りませんが、コンプレッサーのアタックタイムをどんなに限りなく早く(最速に)しても上記画像のように一瞬飛び出るピークが残ってしまう現象がありました(関連記事:知っておくべき dbx166xsの機能、266xsとの違い)。

 

リミッター機能が効かない

dbx166XSにはリミッター機能も付いており、本来ならリミッティングを行ってくれるはずですが、アウトボードだからなのかどうしてもピークが消えませんでした。この辺りはアウトボード(アナログ機材)の難点のようにも感じます。

 

一瞬のピークが音圧を上げる際、邪魔になる

postPeakReduction-音波形02©HeretickMentality.com.png

イメージとしては上記画像の緑線で囲んだような波形に近付けたいのですが、この一瞬のピーク値の影響で(ピークが0dBに触れてしまって、それ以上音量を上げる事が出来ないので)音圧的に2~5dB程度、場合によってはもっと損をしてしまう事にります。

 



楽曲中の一瞬のピークが消えない場合の対処法は?

post-dbx166XS-gainReductionMater02-640×360@HeretickMentality.com.JPG

dbx166XSのゲイン・リダクション・メーター)

 

先に述べた現象が、DAWソフトウェア上で起こってしまった場合の対処法として考えられるものとしては、以下の様なものが考えられます。

  • 原因となっているトラック(パート)を探しだし対処する
  • コンプレッサーの後ろに別途リミッターを挿す

 

原因となっているトラック(パート)を探しだし対処する

一瞬のピークを作り出す原因となっているトラック(パート)を探しだす事が出来るのであれば、そのトラック(パート)をピンポイントで狙って行きます。

複数のトラック(パート)が同時に音を出すタイミングでは瞬間的に音量が大きくなる事がよくあります。また、周波数帯域が(一部)被るトラック(パート)、例えばバスドラム=ベースドラムとベース等がある場合は、聴感上はそれぞれのトラック(パート)の音がそこまで出ていないように感じても、「実際の音量レベルは思ったよりも大きかった」と言う事がよくあります。

 

もし、一瞬のピークを作り出す原因となっているトラック(パート)を探しだす事が出来たら、「そのトラック(パート)の音量レベルを下げてみる」、「そのトラック(パート)を録り直す(別の音に差し替える)」等の方法で対処する事が出来ます。

 

コンプレッサーの後ろに別途リミッターを挿す

プラグイン(VST)のコンプレッサーでこのような問題が起きた場合

使うプラグインエフェクト(VST)によって変わってくるので一概には言えませんが、プラグイン(VST)のコンプレッサーでこのように「一瞬のピークが消えない」と言った現象はアウトボードコンプレッサーより起きにくいかと思います。アタックタイムが遅いのならこう言った事は起こりますが、アタックタイムを早くしていけばピークが無くなり整った波形に近づいていく場合が多いです。

もし、プラグイン(VST)コンプレッサーのアタックタイムを早く(最速に)しても問題が解決しないのであれば、別のプラグイン(VST)を試してみるかコンプレッサーの後ろに別途リミッターを挿し、ピークを狙ってリミッティング(切っていく)していけば問題は解決するかと思います。

 

アウトボードコンプレッサーでこのような問題が起きた場合

アウトボードコンプレッサーでこのような問題が起きた場合も、先程と同じように「アウトボードコンプレッサーの後ろに別途でアウトボードリミッターを挿す」と言った方法が考えられます。が、それでもやはりアウトボードなので「後ろにアウトボードリミッターをさしても問題が解決しない」事もあり得ます。

この方法の場合、すでにアウトボードリミッターもしくはリミッター機能が付いたアウトボード機材を持っている場合は良いですが、そうでない場合は別途アウトボードリミッターを購入する必要が出てきます。

 

また、アウトボードコンプレッサーでこのような問題が起きた場合、「アウトボードコンプレッサーから出力された音をDAWソフトウェアに流し、プラグイン(VST)のリミッターを挿す」と言った方法も考えられます(関連記事:サンプラーを使用したビートメイクにおいて音源素材へのエフェクト処理は録音ソース側、サンプラー内、DAWソフトウェア上、どのタイミングで行うべきか?)。

アウトボードコンプレッサー→オーディオインターフェイス→パソコン(DAWソフトウェア)の順に接続し、DAWソフトウェア上で音源を録音、エフェクト処理(プラグイン(VST)リミッターでの処理)を行ってしまいます(関連記事:(スタンドアローン型)サンプラーで作成したトラックをDAWソフトウェアに書きだす際に最適なオーディオインターフェイスは?)。



楽曲によっては、ピークがリミッターでバッサリ切られている場合も

意外と普通に市場に流通している(有名な)アーティストの楽曲でも、調べてみたら「ピークをバッサリと切っている(ようにも思える)ような処理をしていた」なんて事もあるかもしれません。

以前、なんとなく試しに「Gangs-tarr / Ya Know My Steez」をDAWソフトウェア上のトラックに入れてみた事があり、おそらく「バッサリと(割と深めに)綺麗にリミッターで音を切った(叩いた)のではないか?」と思える波形が出てきました。

アメリカの、特にオールドスクールヒップホップ等では割とこう言った大胆な処理も少なくないのかもしれません。