個人レベルで楽曲製作をする方法としては、主に以下の3通りの方法があります。
- DAWソフトウェアで楽曲製作する
- MTR(マルチトラックレコーダー)で楽曲製作する
- DAWソフトウェア、MTR(マルチトラックレコーダー)を併用する
(この記事では「1.DAWソフトウェアで楽曲製作する」、「2.MTR(マルチトラックレコーダー)で楽曲製作する」の2つに絞ります。)
「DAWソフトウェアで楽曲製作する」、「MTR(マルチトラックレコーダー)で楽曲製作する」、どちらの方法でも機材さえ揃っていれば楽曲製作することは可能ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
DAWソフトウェアを使用するメリット
DAWソフトウェアは、パソコン上にインストールする事で音楽制作を可能にしてくれる音楽制作用のソフトウェアです。
DAWソフトウェエアで楽曲製作するメリットとしては、主に以下の様なものが挙げられます。
- プラグインエフェクトが扱える
- 数多くのトラックを扱える
- 視覚的に音源を編集できる(波形編集)
- 細かい部分まで編集できる
プラグインエフェクトが扱える
プラグインエフェクトは、DAWソフトウェア上で扱えるエフェクトです。
エフェクターの一例としてエレキギターのコンパクトエフェクター(コンプレッサー、ディストーション、トレモロ、フェイザー、ディレイ、リバーブなど)がりますが、あれらのソフトウェアバージョンと言えば分りやすいかもしれません(関連記事:プラグインエフェクトとは?).。
無料の物から有料の物まで多くの種類があり、実機(アウトボード)を購入するより手軽に色々な物を試す事が出来ます。また「有名な機材をモデリングしたものが実機(アウトボード)よりかなり安く手に入れる事ができる」と言った点も魅力の1つです。
数多くのトラックを扱える
使用するDAWソフトウェアの種類やDAWソフトウェアのグレードにもよりますが、マルチトラックレコーダー(MTR)でレコーディングする場合とは比べ物にならない程多くのトラック数を扱う事が出来ます。
グレードが低いものやLE(ライトエディション)バージョンでは「○○トラックまでしか使用できない」と言った制限がある場合が多いですが、グレードの高いバージョンでは「トラック数無制限」など、多くのトラックを扱えるようになります。
視覚的に編集できる(波形編集)
また、DAWソフトウェアではそれぞれパートごとの素材の波形を目で確認しながら編集する事が出来ます。
マルチトラックレコーダー(MTR)でも機種によっては、備え付けのディスプレイで波形を確認しながら録音・編集出来るものもりますが画面もそこまで大きくない場合が多くパソコンの大きい画面で作業できるDAWソフトウェアの方が圧倒的に視認性は良いです。
細かい部分まで編集できる
DAWソフトウェア上では、例えば以下のようなパラメーターにオートメーションを書く事が可能となっています。
- 音量レベル
- 左右パン
- エフェクトのON/OFF
- エフェクトのセンド量
1度オートメーションを書けば、例えば「徐々に音量を上げる/下げる(フェードイン・フェードアウト)」、「特定のタイミングで特定のVSTプラグインをON/OFFにする」と、言ったような操作を楽曲再生中にDAWソフトウェア側で勝手に行ってくれます。
このオートメーション以外にも、細かい部分まで編集できる仕組みはDAWソフトウェアには多くあります。
マルチトラックレコーダー(MTR)を使用するメリット
DAWソフトウェアがパソコン上で音楽制作を行うのに対し、マルチトラックレコーダー(MTR)は、パソコンを使用せずに実機で録音・編集を行う方法になります。
マルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作するメリットを大まかに挙げると、以下のょうになります。
- パソコンやオーディオインターフェイスを使う必要が無い
- 目が疲れない
- 直観的な操作が可能
- 視覚での判断に頼りづらい
パソコンやオーディオインターフェイスを使う必要が無い
マルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作する場合、マルチトラックレコーダー(MTR)本体にシールドケーブル(?)やキャノン(XLR)ケーブル(?)を接続し直接録音(データはSDカードなどで保存)するので一切パソコンを触る必要がありません。
また、パソコンに接続する必要が無いのでアナログ信号をデジタル信号に変換するオーディオインターフェイスも必要ありません(関連記事:オーディオインターフェイスとは?)。
また、DAWソフトウェアはCPU使用率が高くなるので、ある程度スペックの良いパソコンで無いとしょっちゅうDAW操作中にパソコンがフリーズしてしまったり電源が落ちてしまうトラブルがありますが、それらに悩まされる事も無くなります。
目が疲れない
パソコン画面を見る必要が無いので、DAWソフトウェアを使用した場合に比べ目の疲れはかなり少なくなります。
直観的な操作が可能
マルチトラックレコーダー(MTR)の場合、フェーダーやSTART、STOP、RECボタンを直接操作するのでDAWソフトウェアに比べ直観的で素早い操作が可能です(DAWソフトウェアを使う場合でもMIDIコントローラー、MIDIキーボードを導入する事で直感的な操作は可能になりますが)。
視覚での判断に頼りづらい
これは、メリットでありデメリットでもありますが、DAWソフトウェアほど視覚に頼った波形編集が出来ないので、視覚よりも耳で楽曲を判断せざるを得ないケースも多くなります。
DAWソフトウェアで楽曲製作すべきケースとは?
先ほども触れたように、DAWソフトウェアを使用し楽曲製作する事のメリットは数多くあります。また、昨今のDTM・宅録においては楽曲製作にマルチトラックレコーダー(MTR)を用いるケースの方が少ないかと思います。
なので、どうしてもマルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作を行いたい理由が無い限りは、DAWソフトウェアで楽曲製作を行えば良いかと思います。
マルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作すべきケースは?
DAWソフトウェアを使用し楽曲製作を行う場合、アウトボードより比較的安く様々なプラグインエフェクトを入手出来たり、編集の可能性が限りなく広がるなどメリットは多くあります。が、それでもDAWソフトウェアではなくマルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作すべきはどのような場合でしょうか。
マルチトラックレコーダー(MTR)で楽曲製作すべきケースは、以下の様な場合ではないかと考えられます。
- 楽曲に人間味を出したい
- アナログ感が欲しい
- 空気感が欲しい
楽曲に人間味を出したい人
楽器やヴォーカルをマイク録りして使用する場合は多少解消されますが、DAWソフトウェアを使用し作成した楽曲は、どうしても機械的な音楽になりがちです。特に打ち込みが多くなる場合、その傾向は強くなるかと思います。
マルチトラックレコーダー(MTR)を使用する場合、自然と打ち込みの要素は少なくなるので、結果的に楽曲に人間味が出やすくなります。
楽曲にアナログ感・空気感が欲しい人
ライン録りしたエレキギター・エレキベースの音にDAWソフトウェア上でアンプシミュレーター(プラグインエフェクト)をかける事でもエレキギターやエレキベースを実際にアンプで鳴らした時のような音を出す事は出来ますが、エレキギターやエレキベースの音を実際に実機のアンプから出してマイク録りした場合、アンプシミュレーターでは出せないような空気感を得る事が出来る場合があります。
マルチトラックレコーダー(MTR)では「アンプシミュレーターを使えない」と言う制限がかかる事で、自然と「エレキギターやエレキベースの音を実機のアンプから出してマイク録りする」方法をとる事になり、結果アナログ感・自然な空気感が楽曲に出てくる場合があります。