AKAI ProfessionalのAKAI MPCシリーズやNATIVE INSTRUMENTSのMASCHINEシリーズをはじめとしたサンプラーには様々なモデルが存在します。
おそらくサンプラーについて少し調べた事がある人なら、「サンプラーには”スタンドアローン型モデル”と”PC(ソフトウェア)連動型モデル”、また”スタンドアローン、PCと接続した状態での使用どちらにも対応したモデル”がある」と、言う事を知っているかもしれません(”PC(ソフトウェア)連動型製品の正確な扱いとしては、MIDIコントローラーになるのかもしれませんが、基本的に当サイトではサンプラーとして扱います。関連記事:サンプラー、ドラム(リズム)マシン、シーケンサー、MIDIコントローラー、シンセサイザー、それぞれの違いとは?)。
AKAI MPC 60から始まったAKAI MPCの長い歴史の中でも、当初はスタンドアローン型モデルのみのリリースでしたが、近年はAKAI MPC ELEMENTやAKAI MPC Studio、AKAI MPC Renaissance等のPC(ソフトウェア)連動型モデルも数種類がリリースされています。逆にNATIVE INSTRUMENTSの MASCHINEシリーズからは、最近スタンドアローン型のモデルMASCHINE+(Amazonへリンク)がリリースされました。
この記事では、スタンドアローン型のサンプラーとPC連動型のサンプラーの違いから、それぞれのメリット・デメリット等について紹介していきます。
サンプラー:スタンドアローン型とPC(ソフトウェア)連動型の違いとは?
スタンドアローン型=単体で動作するタイプ
スタンドアローンとはサンプラー単体で動作する、つまりPC(パソコン)をはじめ他のあらゆる機器に接続せずともサンプラーのみで使用・ビートメイク(楽曲製作)が行えるタイプのモデルの事を言います。
AKAI MPC 60に始まり、AKAI MPC 60Ⅱ、AKAI MPC 3000、AKAI MPC 2000、AKAI MPC 2000XLなどAKAI MPCシリーズ初期の頃は、基本的にスタンドアローン型のモデルのみリリースされていました。サンプラービートメイク初心者におすすめのAKAI MPCのモデルは?でも触れていますが、そのようなAKAI MPCシリーズ初期の頃のモデルには、今でも世界中に根強いファンがいます。
また冒頭でも触れましたが、NATIVE INSTRUMENTSの MASCHINEシリーズからは、最近スタンドアローン型のモデルMASCHINE+(Amazonへリンク)がリリースされました。
昔から国内外の有名ヒップホップビートメイカーやプロデューサー達がスタンドアローン型のサンプラーを使用していた事もあり、“サンプラー=スタンドアローン型”と言うイメージを持った人も多いかと思います。
PC(ソフトウェア)連動型=パソコンと接続して使用するタイプ
PC(ソフトウェア)連動型の製品は、サイトやメーカーによってサンプラーとして扱われていたり(当サイトでも基本的にはサンプラーとして扱います)、MIDIコントローラーとして扱われていたりしますが、正確な扱いとしてはMIDIコントローラーになるのかと思います。
PC(ソフトウェア)連動型とは、サンプラーとパソコンをUSBケーブル等で接続しMPC Software(2)やMPC Beats、KOMPLETE Selectなどサンプラー本体を買った際に付属してくる(パスキー等を入力して公式サイトからダウンロードした)専用DAWソフトウェアをパソコン上にインストールした上で使用するタイプのモデルになります。
MIDIコントローラー機能が働く為、本体のつまみを動かしたりパッドを叩いたりすれば、DAWソフトウェア上に表示されているパラメーターを動かしたりピアノロールに打ち込んでいくことが出来ますが、サンプラー単体でビートメイク(楽曲製作)を行う事は出来ず、ビートメイク(楽曲製作)したい場合は必ず専用ソフトウェアをパソコン上で起動させた上で行う必要があります。
スタンドアローン型サンプラーのメリット・デメリット
スタンドアローン型サンプラーのメリット
スタンドアローン型のメリットとしては、以下のような点があります。
- スムーズにビートメイク(楽曲製作)が開始できる
- パソコンが無くてもビートメイク(楽曲製作)可能
スムーズにビートメイク(楽曲製作)が開始できる
PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーの場合、ビートメイク(楽曲製作)するにしても1必ず1回1回パソコンの電源を入れDAWソフトウェアを起動させる必要がありますが、スタンドアローン型のサンプラーの場合は、サンプラーを使用したビートメイクを始めるにあたって必要になる機材(物) スタンドアローン型、PC連動型、それぞれの場合でも触れていますが(極端に言えば)サンプラーの電源さえ入れてしまえば、すぐにビートメイク(楽曲製作)を開始する事が可能です。
1回1回パソコンやDAWソフトウェアが起動するのを待つ時間さえ煩わしく感じる人には、スタンドアローン型のサンプラーの方が向いているでしょう。
パソコンが無くてもビートメイク(楽曲製作)可能
先程触れた「パソコンの起動を待つ必要が無い」点を含め、「パソコンが必要無い」と言う事には以下の様なメリットがあります。
- パソコンを所持していない人でも楽曲製作できる
- キーボード操作を始めとしたパソコン操作が苦手な人でも扱える
- DAWソフトウェアの操作を覚える必要が無い
スタンドアローン型サンプラーのデメリット
一方、スタンドアローン型のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 昔のモデルは新品が手に入りにくい(中古品が多い)
- 不具合が起こり易い
- サイズが大きい、重い
昔のモデルは新品が手に入りにくい(中古品が多い)
スタンドアローン型のサンプラーでも比較的最近発売されたモデル、AKAI MPC XやNATIVE INSTRUMENTSのMASCHINE+等を除いては生鮮終了品(AKAI MPC 60 ./ 60Ⅱ、AKAI 2000 / 2000XL、AKAI MPC 3000、AKAI MPC 500、AKAI MPC 1000、AKAI MPC 2500、AKAI MPC 5000、AKAI MPC 4000、AKAI MPC LIVE)がほとんどとなります*1。
入手したい場合は、YAHOO!オークションを始めとしたオークションサイトやAmazon、楽天、YAHOO!ショッピング等で中古品を購入するか、知人から譲ってもらうなど入手方法が限られてきます(AKAI MPC:各モデル購入可能ECサイト一覧 »)。
不具合が起こり易い
もし中古品を入手した場合、当然新品に比べて不具合が起こる可能性が高くなります。特にAKAI MPCシリーズ初期の頃のモデルのような古い機種では、使用されているパーツの経年劣化がひどくなり使用している内に正常に動作しなくなる事も充分あり得えます。
サイズが大きい、重い
最近多くなってきているPC(ソフトウェア)連動型のモデルの物と比較すると、スタンドアローン型のモデルは(AKAI MPC 500、AKAI MPC 1000、AKAI MPC LIVE (2)等の例外もありますが)重量があり、またサイズも大きい場合が多くなっています。
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーのメリット・デメリット
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーのメリット
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーのメリットとしては、以下のような点があります。
- データセーブ・ロード時間が早い
- 保存できるデータ容量が大きい
- DAWソフトウェアの操作に慣れている人は扱いやすい
- より細かいエディットが可能
データセーブ・ロード時間が早い / 保存できるデータ容量が大きい
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーの場合、音源などのデータはUSBケーブル等を通じてパソコン側で保存する事が可能です。サンプラー本体内の保存領域、またはCFカードやフロッピーディスク、SDカードなどの外部メモリ(記録媒体)にデータを保存するスタンドアローン型サンプラーに比べ(状況にもよりますが)データセーブ・ロードの時間は短く、また保存できるデータの容量は多くなります。
DAWソフトウェアの操作に慣れている人は扱いやすい / より細かいエディットが可能
それぞれのメーカーから用意さえているMPC Software(2)やMPC Beats、KOMPLETE Selectなどサンプラー本体を買った際に付属してくる(パスキー等を入力して公式サイトからダウンロードした)専用DAWソフトウェアもDTMでよく使われるようなDAWソフトウェア(ProtoolsやLogic、Abletonなど)の操作と共通する部分は少なからずあるかと思います。
そう言った意味でDAWソフトウェアの扱いに慣れている人は、「DAWソフトウェアを扱った事が無い人」に比べてこれら専用ソフトウェアの扱いも用意かと思います。また、スタンドアローン型サンプラーよりも細かい部分まで視覚的にエディットが出来たり、エディットの選択肢が格段に多くなったり、と言ったメリットもあるかと思います。
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーのデメリット
PC(ソフトウェア)連動型サンプラーのデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- パソコンが無いと使用できない
- パソコンとの接続で不具合が起こる事もある
パソコンが無いと使用できない
PC(ソフトウェア)連動型は専用のソフトウェアを起動し、そこへサンプラー(MIDIコントローラー)からの信号を送って初めて音が出ます。AKAI MPCやMASCHINEは、あくまでMIDIコントローラーの役割しか果たさないのでパソコンが無ければビートメイク(楽曲製作)は出来ません。
また、もしパソコンの調子が悪くなってしまった場合もビートメイク(楽曲製作)が出来なくなってしまう可能性があります。
パソコンとの接続で不具合が起こる事もある
USBケーブル等でサンプラー(MIDIコントローラー)とパソコンを接続する際も不具合が起こる可能性は充分あります。使用する環境によって、パソコン側でサンプラー(MIDIコントローラー)を認識出来なかったり、細かい設定が必要であったりする場面も出てくるかもしれません。
スタンドアローン型のサンプラー、ソフトウェア連動型のサンプラーの例
スタンドアローン型のサンプラー
スタンドアローン型のサンプラーとしてAKAI MPCシリーズでは、初期の頃のモデルAKAI MPC 60(Ⅱ)やAKAI MPC 3000、AKAI 2000、2000XL、(生産終了モデルの中では比較的入手しやすく人気のある)AKAI MPC 1000や筆者も使用していたAKAI MPC 2500等があり、比較的最近リリースされたモデルでは、AKAI MPC X (SE)(パソコンに接続してMIDIコントローラーとしての使用も可能)やAKAI MPC ONE (+)、AKAI MPC LIVEシリーズ等があります。
また、NATIVE INSTRUMENTSの MASCHINEシリーズからは、最近スタンドアローン型のモデルMASCHINE+(Amazonへリンク)がリリースされています。
PC(ソフトウェア)連動型のサンプラー
PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーとしては、ソフトウェア連動型でありながら歴代のAKAI MPCシリーズを彷彿とさせるカラーのモデルAKAI MPC Renaissanceや4万円台と比較的手に入れやすい価格となっているAKAI MPC Studio (Black)、スマートフォン画面をタッチするかのように画面をタッチしながらビートメイク(楽曲製作)が行えるAKAI MPC Touch等があります。
*1…2024/7時点