アルバムと言うフォーマットに縛られず、楽曲単位でのストーリーミング再生やダウンロード販売が全盛の現代において「レコードで音楽を聴く」と言う行為は、「時代の真逆を行っている」とも言える。
デジタルデータならば、スマートフォンやiPhone、デジタルオーディオプレーヤーなどの再生機器さえあれば場所を選らばず好きな音楽を楽しめる。
もちろん、デジタルにはそう言った「デジタルの良さ・メリット」があるが、アナログレコードには「アナログレコードの良さ・メリット」がある。
アナログレコードの良い点
(Reloop RP-7000にセットした『DOMO GENESiS / Genesis』)
低音域の再現性
まず、アナログレコードで音楽を聴いた際に個人的に一番驚いたのは低音域の再現性だ。
「低音域の豊かさ」と言う表現方法もあるが「再現性」としたのは、アナログレコードの音こそ本来楽器などが出しているリアルな音に近いからだ。
デジタルデータの場合、「パソコンやスマートフォンで聴きやすくする為」にミックス・マスタリングの過程でイコラーザーなどで調整されているケースが多い。特に最近のデジタルデータでは、低音域・高音域に比べ小さい音でも迫力が出やすい中音域が強調されているケースが多い。その理由は、専門的な用語を使って言えば「低音域・高音域は人間の耳に聴こえにくい。そして、余分な低音域・高音域が音圧を上げる際、邪魔になるので削ってしまおう」と言う流れがあるからだ。
特に、ベース・ベースドラムの重心が低くなるヒップホップにおいては、デジタルとアナログレコードで聴いた時の差は大きくなるかと思う。いつも聴いている楽曲が、デジタルデータで聴いてた時とは違って聴こえる事も多い。
楽曲のリアルさ
これは、「低音域の再現性」による影響が大きいと思うが、 デジタルデータでは削られてしまっている周波数帯域の音がレコードではそのまま再生される為、デジタルデータで聴いた時よりも臨場感があり、リアルに聴こえる。
曲の好きな再生位置に移動しやすい
レコードで音楽を聴く場合、針をレコードに落として聴く事になる。が、基本的に(曲部分であれば)針はレコードのどの部分に落としても再生できる。
CDやデジタルデータのように「キッチリと曲の頭から始まる」決まりが無い。逆にキッチリ合わせる方が難しいかもしれない。「アルバムの1曲目から」でなく例えば、「B面の4曲目の大体○○秒辺りから」と言った聴き方も出来てしまう。
アナログレコードの難点
アナログレコードには良い面もあるが、当然難点(デメリット)もある。
レコード盤を裏返す必要有り
CDの場合も1枚に収録できる時間は決まっているが、レコードの場合も盤面に収録できる時間には限りがある。ただ、CDと違うのは「アナログレコードの場合、A面とB面(表裏)がある」と言う点だ。
レコードのアルバムの場合、「1曲目~○曲目がA面、○曲目~○曲目がB面」と言ったような収録方法になっており、通して聴くには途中でレコード盤を裏返す必要性が出てくる。更に収録時間の長い物だと2枚目組み(C面、D面)になる事もある。
また、シングルでも「A面にメインバージョン、B面にインストゥルメンタルバージョンやアカペラ、リミックスバージョンが収録」されていると言ったケースが多い。それらも同様にレコードを裏返さなければならない。
音(針)飛びする
レコードの盤面や溝にほこりがついていたり、「傷をつけてしまった」などレコードの溝に何らかの不具合があった場合、 「針が飛んでしまい通常通り再生できない」と言う不具合が出ることがある。特定の部分が再生できず、「楽曲の他の特定の部分が永遠にループ再生される」事も実際何回かあった。
正確な曲の頭が分りずらい
アナログレコードでは、「曲の途中からでも気軽に再生できる」と言うメリットがある反面、正確な曲の頭は分りずらい。
アナログレコードでは、曲間には太めの溝が掘られているので「大体の曲の頭」は分る事には分るが、デジタルのようにキッチリと曲の頭に合わせる事は難しい。
再生するには機材が必要
CDやデジタルデータを再生するにもコンポやスマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、パソコンなどが必要だが、アナログレコードは再生するには、ターンテーブルやレコード針、アンプなど多くの機材が必要になってくる。
金銭的コストがかかるのははもちろん、場所も取られる。
アナログレコードを聴く為に必要な機材について、詳しい事はまた別の記事で触れて行く。