「これからサンプラーを使ってビートメイクをしてみたい」と、思っている人達の中には「ビートメイクはしたいんだけど、一体何が必要になるのか分らない」と、言った人も少なくないかと思います。
同じ「サンプラーを使ったビートメイク」でも「スタンドアローン型のサンプラーを使用するのか」、それとも「PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーを使用するのか」によっても必要になってくる機材(物)は変わってきます。
この記事では、サンプラーを使用したビートメイクを始めるにあたって必要になってくる機材(物)を「スタンドアローン型のサンプラーを使用する場合、PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーを使用する場合、共通で必要になる機材(物)」と「PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーを使用する場合のみ必要になる機材(物)」に分けて紹介します。
スタンドアローン型サンプラーを使用する場合、PC連動型サンプラーを使用する場合、共通
必須の機材(物)
スタンドアローン型のサンプラー(例えばAKAI MPC 2000XL、AKAI MPC 1000、 AKAI MPC LIVE(2)、AKAI MPC ONE、MASCHINE+等)を使用する場合、PC(ソフトウェア)連動型サンプラー(AKAI MPC ELEMENT、AKAI MPC Touch 、AKAI MPC Renaissance等)を使用してこれからビートメイクを始める場合、どちらの場合にしても共通で最低限必要になってくる機材(物)は以下のようになります。
- サンプラー
- ヘッドフォン
- 音源素材
サンプラー
当然ですが、まずはサンプラーが必要になります。
サンプラービートメイク初心者におすすめのAKAI MPCのモデル »
サンプラービートメイク初心者におすすめのMASCHINEシリーズのモデル »
ヘッドフォン
出音のチェック、作成したビート(の2ミックス)のチェックに必要
ヘッドフォンは、出音のチェックや作成したビート(の2ミックス)を実際に自身で聴き返してチェックする為に使用します。そしてその際には、以下の様な要素をチェックします。
- 帯域ごとのバランス
- 左右chの音量バランス
- 定位バランス
- エフェクトのかかり具合
もちろん、これら以外にも人によってチェックするポイントは変わってきて細かいところまで挙げればきりがありませんが、「まずは、大まかにチェックするポイント」としては、上記のようになります。
音源素材
ドラムやパッド音源素材も必要になってきます。
ブランドやモデル、「新品か中古か?」買った際の状況にもよりますが、サンプラー本体を買った際に(メモリーカード等に)ドラム等の簡単な音源が付属してくる場合もあります。極端に言えば、それさえあればビートメイクをする事は可能です。
なので、レコードからサンプリングする場合や楽器演奏をセルフサンプリングする場合に必要になる機材(物)は次の「必要に応じて揃える機材(物)」で触れていきます。
必要に応じて揃える機材(物)
スタンドアローン型のサンプラー(例えばAKAI MPC 2000XL、AKAI MPC 1000、 AKAI MPC LIVE(2)、AKAI MPC ONE、MASCHINE+等)を使用する場合、PC(ソフトウェア)連動型サンプラー(AKAI MPC ELEMENT、AKAI MPC Touch 、AKAI MPC Renaissance等)を使用してこれからビートメイクを始める場合、どちらの場合にしても、必要に応じて揃える事になる機材(物)は以下のようになります。
- モニタースピーカー
- レコード(レコードからサンプリングする場合)
- レコードプレイヤー / ターンテーブル、接続する為のケーブル(レコードからサンプリングする場合)
- シンセサイザー、ギター、ベース等の楽器、マイク、接続する為のケーブル(セルフサンプリングする場合)
- サンプリングCD(サンプリングCDを使用する場合)
- デスク、椅子
モニタースピーカー
出音のチェックや作成したビート(の2ミックス)のチェックを行う方法には以下の3通りの方法があります。
- ヘッドフォンでチェックする
- モニタースピーカーでチェックする
- ヘッドフォンとモニタースピーカーを併用する
モニタースピーカーを使ってリスナーの様々な視聴環境に対応する
モニタースピーカーは、「リスナーが普段音楽を聴く環境で楽曲がどう聞こえるのか?」をチェックする為 に使われます(関連記事:サンプラーを使用したビートメイクをする際も用意したい”モニタースピーカー”とは?)。
音楽リスナーの中には「音楽はヘッドフォンでしか聴かない」と、言う人ももちろんいるでしょうが、全員が全員そうではなく「車の中でよく聴く」人や「部屋でスピーカーで聴く」人、「スピーカーでも聴くしヘッドフォンでも聴く」人等、様々なタイプの人がいます。
ヘッドフォンのみで出音や作成したビート(の2ミックス)をモニターした場合、その時は納得のいく感じに仕上がった(=リスナーがヘッドフォンで聴いている時は良い感じに聴こえる)としても、リスナーがスピーカーで聴いた(モニタースピーカーで出音や作成したビート(の2ミックス)を聴いた)時に「思っていた音と違う」とか「全体的に(定位や帯域の)バランスが悪い」と感じる事が多くあります。
出音や作成したビート(の2ミックス)のチェックにはヘッドフォンとモニタースピーカーの併用がおすすめ
基本的には、モニタースピーカーを使わずヘッドフォンのみでビートメイクしていく事は可能です。が、先程も触れたように完成したビート(の2ミックス)をリスナーがスピーカーで聴いた場合に、「ヘッドフォンでモニターしていた時のものとビートの聴こえ方が違う」と、言う事態を避ける為にも「スピーカーで聴いた場合の出音」も把握出来る「ヘッドフォンとモニタースピーカーを併用」がおすすめです。
KRK ROKIT 5はサンプラーを使用したビートメイクのモニタースピーカーとして適切なのか?良い点、悪い点 »
レコード(レコードからサンプリングする場合)
レコードからサンプリングする場合は、当然必要になります。
サンプリングしたい部分・フレーズが収録されているレコードを用意します。
レコードプレイヤー / ターンテーブル、接続する為のケーブル(レコードからサンプリングする場合)
レコードプレイヤー / ターンテーブル、接続する為のケーブル類もレコードからサンプリングする場合には、当然必要になってきす。
基本的にはレコードプレイヤー、ターンテーブル、どちらでもサンプリングする事は可能です。また、ケーブルに関しては主にRCAケーブル(場合によっては変換プラグ)を使う事になるかと思います(関連記事:サンプラー等アナログ機材の入出力端子の種類(PHONE、RCA、XLR、MIDI、USB))。
シンセサイザー、ギター、ベース等の楽器、マイク、接続する為のケーブル(セルフサンプリングする場合)
シンセサイザーやギター、ベース等楽器を自分で弾いてセルフサンプリングする場合は、それらの楽器やマイクとサンプラーを接続する為のケーブル(楽器とサンプラーを接続する場合はシールドケーブル、マイクとサンプラーを接続する場合はXLRケーブルを使う事が多くなります)が必要になってきます。(関連記事:サンプラー等アナログ機材を使う場合のケーブル選びで気を付けたいポイント)
マイクプリアンプ
楽器の録音方法にしても以下の2通りの方法があります。
- 直接楽器とサンプラー(オーディオインターフェイス)をライン接続し録音。録音後にDAWソフトウェア上で録音素材にアンプシミュレーターやエフェクトを使う
- アンプの前にマイクを立てて鳴り音を録音する
「アンプの前にマイクを立てて鳴り音を録音する」場合は、マイクプリアンプの導入を考えてみても良いかもしれません。
マイクプリアンプは、マイクで拾った音声信号を増幅させる為の機材でヴォーカル録りの際にマイクとオーディオインターフェイスの間に挟まれたりしますが、楽器の録音時にも使用出来ます。必要だと思う人は揃えれば良いでしょう。
サンプリングCD(サンプリングCDを使用する場合)
AKAI MPC 2500等、サンプラー本体にCD/DVDドライブが搭載されているモデルの場合、サンプリングCDを読み込ませて音源素材として使う事が出来ます。「サンプリングCDを使ってビートメイクがしたい」と、言う場合は用意しましょう。
デスク、椅子
「長時間作業を行う人」や「快適な音楽制作環境を整えたい人」、「予算に余裕がある人」は、必要に応じてデスクや椅子を新しく用意しておいても良いかもしれません。
PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーを使用する場合
必須の機材(物)
PC(ソフトウェア)連動型サンプラー(AKAI MPC ELEMENT、AKAI MPC Touch 、AKAI MPC Renaissance等)を使用してこれからビートメイクを始める場合のみ、最低限必要になってくる機材は以下のようになります。
- パソコン
- DAWソフト
- USBケーブル
パソコン
基本的にMac、WindowsどちらでもOK
PC(ソフトウェア)連動型サンプラー(AKAI MPC ELEMENT、AKAI MPC Touch 、AKAI MPC Renaissance等)を使用してビートメイクをする場合、「パソコン上に例えばAKAI ProfessionalのAKAI MPCシリーズならMPC Software(2)やMPC Beatsを、NATIVE INSTRUMENTSのMASCHINEシリーズならMASCHINEやKOMPLETE等DAWソフトウェアをインストール」した上で行って行く事になるので、当然パソコンが必要になります。
基本的にDAWソフト等の動作環境を満たす物ならMac、Windowsどちらでもよく、自分の好きな方を使用すればOKです(動作環境を満たしていなくても動作する場合もありますが、DAWソフト作業中のパソコンフリーズや強制シャットダウン等のトラブルを防ぐには、動作環境を満たした物の方が良いでしょう)。
ただ、DAWソフトによっては「MacもしくはWindowsのどちらかでしか使用できない」場合もあるので、どうしても使用したいDAWソフトがある場合等はそのDAWソフトの動作環境をよく確認した上で「MacにするのかWindowsにするのか」決めた方が良いでしょう。
各サンプラー付属DAWソフトウェア別動作環境 / 推奨環境 + 動作環境対応パソコン:AKAI MPCシリーズ »
各サンプラー付属DAWソフトウェア別動作環境 / 推奨環境 + 動作環境対応パソコン:MASCHINEシリーズ »
DAWソフトウェアを使う場合、特に重要になるのはパソコンのCPU(プロセッサー)とRAM(メモリ)
MPC Software(2)やMPC Beats、MASCHINE、KOMPLETE等のDAWソフトウェアを使う場合、それらDAWソフトウェアの動作環境を満たすパソコンを選ぶ必要があり、さらに以下の2点(プラスHDD(ハードディスク)の容量)に特に注意すると良いでしょう。
- CPU(プロセッサー)
- RAM(メモリ)
CPU(プロセッサー):パソコンの処理速度。性能が良いほど処理速度が速くなる。よく、作業者の頭脳に例えられる。
RAM(メモリ):一時的にデータを保存しておく場所。よく、作業スペース(机)の広さに例えられる。
HDD(ハードディスク):音源データなど(長期のデータ)を保存する場所。容量が大きいほど、より多くのデータを保存できる。よく、引き出し(ファイルを保存しておく場所)の大きさに例えられる。
簡単に言えば、このCPUの性能が良くメモリ容量の大きいパソコンの方が快適に作業できる事になり、逆に言えばCPUの性能が低くメモリ容量が少ないと、作業中にパソコンがフリーズしたり強制的にシャットダウンしてしまうようなトラブルが多くなります。
ただ、性能の良いパソコンはどうしても値段が高くなってくるので,その辺りは各々予算も考慮した上で選んでいけば良いかと思います。
DAWソフトウェア
DAWソフトウェアはサンプラー本体を買った際に付属してくる
AKAI ProfessionalのAKAI MPCシリーズならMPC Software(2)やMPC Beatsが、NATIVE INSTRUMENTSのMASCHINEシリーズならMASCHINEやKOMPLETE等DAWソフトウェアが各PC(ソフトウェア)連動型サンプラー本体を買った際に付属品としてバンドルされているので、基本的にはこれらを使っていれば良いでしょう。
USBケーブル
(モデルによっては、USB(?)ケーブル以外の物が採用されている場合もあるかもしれませんが)パソコンとサンプラー本体を接続する為に使います。
必要に応じて揃える機材(物)
PC(ソフトウェア)連動型サンプラー(AKAI MPC ELEMENT、AKAI MPC Touch 、AKAI MPC Renaissance等)を使用してこれからビートメイクを始める場合のみ必要に応じて揃える事になる機材は以下のようになります。
- LANケーブル
- プラグインソフトウェア
LANケーブル
PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーを買った場合は、公式サイトから専用のDAWソフトウェアを(パスキーを入力する等して)ダウンロードする為にもインターネット接続する必要が出てきます。Wi-Fi等の環境が無く、LANケーブルでインターネットに接続する必要がある場合は、LANケーブルも必要になってきます。
サンプラー本体にしてもAKAI ProfessionalのAKAI MPC LIVE2やAKAI MPC ONE+、AKAI MPC X SE、NATIVE INSTRUMENTSのMASCHINE+等、近年はWi-FiやBluetoothでインターネット接続が可能になっているモデルも存在しますが、それらの機能が搭載されておらずLANポートにLANケーブルを接続してインターネットに接続する必要のあるモデルの場合は、LANケーブルが必要になってきます。
プラグインソフト
プラグインソフトは、「DAWソフトウェア上で動作するエフェクト(プラグインエフェクト)が収録されたソフトウェア」です。ギターのコンパクトエフェクター等のソフトウェア版と考えれば分りやすいかもしれません。
初めからMPC Software(2)やMPC Beats、MASCHINEやKOMPLETE等DAWソフトウェアにもプラグインエフェクト(VST)は付属しているので、それらで満足できる場合は追加でプラグインソフトを買う必要はありませんが、例えば「もっとクオリティーの高い物が欲しい」とか「前からお気に入りのプラグインエフェクト(VST)がある」と、言った場合は別個に購入してみても良いかもしれません。
プラグインエフェクト(VST)の一例としては以下の様なものがあります。
歪み系
- オーバードライブ
- ディストーション
ダイナミクス系
- EQ(イコライザー)
- コンプレッサー
- マキシマイザー
- リミッター
空間系
- ディレイ
- リバーブ
- コーラス
サンプラーを使用したビートメイク:機材を安く揃えるには?
スタンドアローン型のサンプラーを安く入手する
もし「サンプラーを使用したビートメイクがしたいけど、出来れば機材(物)にかけるお金は安く抑えたい」と思っているのであれば、個人的には「スタンドアローン型のサンプラーを安く手に入れてビートメイクを始める」事をおすすめします。
PC連動型のサンプラーの場合、DAWソフトウェアの動作環境を満たすようなパソコンを持っていない場合パソコンも買う必要が出てきますが、スタンドアローン型のサンプラーを選べば極端な話、サンプラーとヘッドフォンと音源さえ揃えればビートメイクを始められます。
「AKAI MPDシリーズ、AKAI MPXシリーズから入る」と、言う手も
もし、「DAWソフトウェアの動作環境を満たすパソコンを持っている」のであれば、PC(ソフトウェア)連動型のサンプラーの中から安い製品(AKAI MPC ELEMENTやMASCHINE MIKRO MK3等)を選ぶ、もしくは更に安く済ませたい場合は「AKAI MPDシリーズやAKAI MPXシリーズから試してみる」と、言う手もあります(関連記事:サンプラービートメイク初心者におすすめのAKAI MPCは?)。