各素材は16PAD上にどう配置すべきか?

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AKAI MPCでサンプリングを終え、音源をパッドに割り当てる際に「どの音源素材をどのパッドに割り当てるのか(どう言った配置にするのか)?」と、言った問題がある。

完全に自分自身の感覚を頼りに各音源素材を16個のパッド上にランダムに配置してしまう事も出来るが、ある程度自分の中で決まりを作って各素材を配置しておけば「各音源素材の配置場所を把握しやすくなる」と言ったメリットがある。

ライブプレイ的な使い方が多くなってくるAKAI MPCでは、各音源素材の配置場所を把握しておく事も意外とポイントになってくるかと思う。例えば、万が一AKAI MPCをプレイ中に例えば”次の次(仮にA地点とする)に叩きたいサンプル素材1″のパッドの配置場所を忘れてしまっても、ある程度配置を決めておけばシーケンスの再生位置がA地点を通過する前に”サンプル素材1″の配置場所を思い出せる可能性が、各素材をランダムに配置した場合に比べて上がる。

結論から言ってしまえば音源素材の配置に特に決まりは無く使用する本人が使いやすければ、つまり「どのパッドにどの素材がアサインされているのか」を本人がしっかり把握できているのならそれで問題は無い。別に、PAD1から順番に綺麗に並べてアサインしなければならないと言った事も無いし「PAD1~PAD16まで全てに例えば”X”と言う1つの素材をアサインしてしまい、パッドごとに微妙に音量やフィルターの掛かり具合、エフェクトのかかり具合を変える」と言った使い方も出来る。つまり、実際にMPCを使用する本人が使いやすければ何でも良いのだ。



感覚に頼ったランダムな配置の場合

まず、冒頭でも触れた「感覚に頼ったランダムな配置」の例を挙げてみる。この「感覚に頼ったランダムな配置の場合」の項、更に「素材ごとにまとめて配置する場合 1: 各素材を四隅に分けて配置した一例 」で示している配置例は、ただ単に著者の思いつきによるものであり、その配置に特に深い意味は無い。また、この記事で挙げて行くのはほんの一例であり、もちろんこの記事中で挙げた以外にも配置パターンは無限にある。

 

1: ドラム3種類をランダムに配置した例

AKAI MPC PAD pt01

BD=Bass Drum (=Kick), SN=Snare Drum, HH=Hi Hat,

上記画像は、Bass Drum(バスドラム)、Snare Drum(スネアドラム)、Hi Hat(ハイハット)の3つをランダムに16個のパッド上に並べてみた一例だ。左端一列と最上段一列をベースドラムに充て、中心付近にスネアドラム、右端の3PADにハイハットが充てられている。

 

2: 相当ランダムに配置した例

AKAI MPC PAD pt09

Cym=Cymbal, Smp=Sample,

次に、サンプル素材やシンバルも足して相当ランダムに配置した例だ。ほぼほぼ法則性が無い上に、ドラムとサンプル素材(上モノ等)が混ざりそれぞれが本当にランダムに配置されている。相当プレイすれば、体が自然に覚えるかもしれないが頭で覚えようとすればかなり大変である。

 

本人が把握できていればランダムでもOK

以上ランダムな配置例を挙げてみたが、冒頭でも触れたように結論から言ってしまえば音源素材の配置に特に決まりは無く使用する本人が使いやすければ、つまり「どのパッドにどの素材がアサインされているのか」を本人がしっかり把握できているのならそれで問題は無い。ランダムな配置でも何ら問題は無いのだ。



素材ごとにまとめて配置する場合

次に、素材ごと(例えば、ベースドラムはベースドラム、スネアはスネア、と言ったように)にある程度まとめて分りやすく配置していく場合を見て行く。(「感覚に頼ったランダムな配置の場合 -1: ドラム3種類をランダムに配置した例」も多少素材ごとにある程度まとまってはいたが、より配置を整理した例を挙げて行く。)

 

1: 各素材を四隅に分けて配置した一例

AKAI MPC PAD pt02例えば、Bass Drum 1、Bass Drum 2、Snare Drum、Sample素材1~4、をそれぞれ四隅に分けて配置してみた例が上記画像だ。対角線上に別種類のBass Drumを並べ、左上にSnare Drum、右下の4つのパッドにSample1~4を割り当てた。

 

2: 各列ごとに配置した例

AKAI MPC PAD pt08

次に、ドラムの各素材を各列ごとに分けて配置してみた例だ。ここではドラムの素材で例を挙げているだけであり、もちろんこれらの素材をサンプル素材やシンセサイザーの音源に置きかえる事も出来る。

上記では、実際のドラムの配置・音域に寄せ、最下段(PAD1~4)から最上段(PAD13~16)へ向かって順番に

  1. BD(バスドラム)
  2. SN(スネア)
  3. HH(ハイハット)
  4. CYM(シンバル)

となっている(ハイハットとシンバルは並べ替えても良いかもしれない。)このように、実際の楽器の配置(定位)や音域に合わせてパッド上に並べて行く事でより配置を把握しやすくなる。

 

3: 各列ごとに配置した例(応用)

AKAI MPC PAD pt06

先ほどの、「2: 各列ごとに配置した例」にもう少しアレンジを加え、もう少し細かく上記画像のように各素材を複数パターンずつ配置する事も出来る。

  • PAD 2,3=BD 1 (MAIN BD)
  • PAD 1,4=BD 2
  • PAD 6,7=SN 1 (MAIN SN)
  • PAD 5,8=SN 2
  • PAD 10,11=HH 1 (Close HH)
  • PAD 9,12=HH 2 (Open HH)
  • PAD 14,15=HH 3
  • PAD 13,16=CYM

ドラム各パーツの位置(定位)や音域を踏まえつつ、各素材を複数パターン(シンバルは除く)用意した例だ。



PAD BANKごとに配置する場合

AKAI MPCには”PAD BANK(パッドバンク)”機能があり、A、B、C、D、それぞれのBANKには1つのBANKにつき16個のパッドが割り当てられている。つまり、1つのプログラムで合計64PADを設定する事が出来る事になる。(1つのパッドにレイヤーで複数の素材をアサインする事も可能だが、ここでは考えない事にする)

  • BANK A : 16 PAD
  • BANK B : 16 PAD
  • BANK C : 16 PAD
  • BANK D : 16 PAD

16 PAD × 4 BANK=64 PAD

 

このPAD BANKごとに楽器を分けて素材をアサインしていく事も出来る。例えば、

  • PAD BANK A→ドラム
  • PADBANK B→レコードからのサンプリング音
  • PADBANKC→キーボードで弾いたピアノ
  • PADBANK D→シンセベース

と、言った具合だ。もしくは、次のような使い方も出来る。まず、「素材ごとにまとめて配置する場合 – 2: 各列ごとに配置した例」のようにある程度素材を整理して配置した上でPAD BANKごとに異なるエフェクト設定を適用する使い方だ。

  • PAD BANK A→無処理のドラム
  • PADBANK B→ローパスフィルターをかけたドラム
  • PADBANKC→ハイパスフィルターをかけたドラム
  • PADBANK D→バンドパスフィルターをかけたドラム

このような配置だたと、例えば「ローパスフィルターがかかったドラムが欲しい」と言った時に、PAD BANK Bに切り替えれば16PAD上の配置はそのままに瞬時にローパスフィルターがかかったドラムキットを呼び出す事が可能となる。

 

各々が最適な配置パターンを見つければOK

以上、様々な配置例を挙げてみたが、記事中で何度も述べたように結局は「本人が使いやすければ、それで問題は無い」かと思う。

また、記事中で挙げた配置パターンはほんの一例であり、配置パターンは無限にある。それぞれがAKAI MPCを使用していく中で自分自身に最適な配置パターンを見つければ良いのではないかと思う。